Морган Райс - 英雄たちの探求 стр 2.

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ソアは迷いながらそこに立っていた。父親に逆らいたくはないが、話をしなければならない。考えると心臓がどきどきした。言いつけに従って、剣を取り、父に立ち向かうのはそれからにしようと決める。すぐに逆らっても何の役にも立たない。

ソアは走って家に戻り、奥の武器小屋に行って兄たちの剣3本を見つけた。どれも銀の柄を持ち、美しい。父が長年こつこつと働いて贈った貴重なものだ。3本をまとめて取ると、いつもながらその重さに驚く。剣を抱えて家の中を通って引き返す。

兄たちのところへ駆け寄り、それぞれに剣を渡すと、父のほうへ向き直った。 「磨き粉はないのか?」とドレークが言う。

父がとがめるようにソアのほうを向く。が、父が何か言う前にソアが切り出した。「お父さん、お願いです。話があります!」

「磨けと言っただろう・・・」

「お願いです、お父さん!」

父は考えながらにらみ返した。ソアの表情に真剣さを見たのだろう、やがて「何だね?」と言った。

「ぼくも、皆と同じように候補に入れて欲しいんです。リージョンの。」

後ろで兄たちの笑い声が起こった。ソアは顔が赤くなった。

だが父は笑わなかった。それどころか顔が一層険しくなった。

「お前がか?」 と尋ねると、ソアが勢いよくうなずいた。

「ぼくはもう14歳です。資格があります。」

「14歳は最低年齢だ。」ドレークが肩越しに軽蔑したように言う。「もし軍団がお前を採るとしたら、最年少ということになる。5歳も上の俺みたいな者を差しおいてお前を採ると思うか?」

「お前は生意気なんだよ。」とダースが言う。「いつもそうだ。」

ソアは皆に向かって言った。「兄さんたちには聞いていない。」

父のほうに向きなおった。まだ厳しい表情だった。

「お父さん、お願いです。」ソアは言った。「チャンスを下さい。お願いするのはそれだけです。まだ若いのはわかっています。でも時間をかけて自分の力を証明していきます。」

父は首を振った。

「お前は戦士じゃない。兄さんたちとは違うんだ。羊飼いだ。お前の人生はここにある。私と一緒にいるんだ。お前は自分の仕事をうまくやっていく。高望みをするものではない。自分の人生を受け止めて、それを好きになるよう努めなさい。」ソアは自分の人生が目の前で壊れていくのを見て、心臓が張り裂けそうな気がした。だめだ、彼は思った。こんな事あっていい訳がない。

「でもお父さん・・・」

「黙りなさい!」父は叫んだ。その声の鋭さに空気が緊迫した。

「もうたくさんだ。軍団が来る。お前はどきなさい。軍団がここにいる間、自分の行いには十分気をつけるんだ。」

父は一歩進み出ると、見たくもない物ででもあるかのように片手でソアを脇へ押しやった。父の肉付きのよい手がソアの胸を刺した。

ガラガラいう大きな音が沸き起こり、町の人々が家から出てきて道に並んだ。雲状のちりが軍団を先導する。やがて彼らが12台の馬車に乗り、雷鳴のような音を響かせながら到着した。

軍団は大きな集団で突然町に入り、ソアの家の近くに止まった。馬はそこに立ち、荒い鼻息で飛び跳ねていた。ほこりが鎮まるまでしばらくかかった。ソアはよろいや武器をのぞこうと躍起になった。シルバー騎士団をこれほど間近で見るのは初めてだった。心臓が鳴った。

先頭の雄馬に乗っていた軍人が、馬から下りる。ここにいるのは本物のシルバー騎士団のメンバーだ。光る鎖かたびらに包まれ、ベルトには長い剣、ロングソードを携えている。年は30代のように見える。顔には無精ひげ、頬に傷跡があり、鼻が戦闘で曲がった、生身の人間だ。ソアがこれまで見たなかで一番がっしりした男だった。体の幅は他の者の2倍はある。皆を指揮する立場だとわかる落ち着きを備えていた。

彼はほこりっぽい道路に飛び降りた。道端に並んでいる少年たちに近づく時、拍車が鳴った。

村の端から端まで、直立不動の姿勢で期待に胸を膨らませながら立つ少年たちでいっぱいだった。シルバー騎士団への入団は名誉、戦闘、名声、栄光の人生を意味する。土地、肩書、そして富も。それは最高の配偶者をめとり、最も良い土地を与えられ、栄光の人生を歩むことだ。家族にとって名誉となる。リージョンへの入隊はその第一歩だ。

ソアは大きな金色の馬車を観察し、大勢の入隊者を乗せられるのがわかった。王国は広大で、寄るべき町はいくらでもある。自分が選ばれるチャンスは思っていたよりも低いことがわかり、息をのむ。この少年たちに勝たなければならない。相当な強者揃いだ。それに自分の3人の兄たちもいる。気分が落ち込んでいった。

ソアは、軍人が候補者の列を見定めながら静かに歩いてくる時、息をすることもできなかった。彼は通りの向こうの端から始め、ゆっくりと回った。ソアはもちろん他の少年たちをすべて知っていた。家族が軍に送り込みたいと望んでいても、本人は選ばれたくないと密かに思っている少年が数人いることも。怖いのだ。そういう少年たちは良い兵士にはなれない。

ソアは屈辱感で熱くなった。自分は、他の者と同じくらい選ばれる価値があると思った。兄たちが自分よりも年上で体が大きく強い、というだけでは、自分が立ち上がって選ばれる権利がないということにはならないではないか。父への憎しみが膨れ上がり、軍人が近づいたときには、皮膚から飛び出しそうなくらいだった。

軍人は、兄たちの前で初めて足を止めた。彼は兄たちを上から下まで眺め、感心したようだった。手を伸ばして鞘の一つを取ると、硬さを調べるかのように引っ張った。そして笑みを浮かべた。

「まだ戦いで剣を使ったことがないんじゃないか?」とドレークに尋ねた。

ソアはドレークが緊張しているのを生まれて初めて見て、つばを飲み込んだ。

「いえ、ありません、上官どの。ですが、練習では何度も使ったことがあります。ですから・・・」

「練習では!」

軍人は大きな声で笑い、他の兵士たちのほうを向いた。皆ドレークの顔を見て笑い始めた。

ドレークは顔が真っ赤になった。ドレークが恥ずかしい思いをしているのは初めて見た。いつもはドレークが皆に恥ずかしい思いをさせていたから。

「それなら敵に君を恐れるように、と必ず告げよう。剣を練習で扱ってきたから、と!」

兵士たちはまた笑った。

軍人はそれから他の兄たちのほうを向き、「同じ家から3人の息子か。」とひげを撫でながら言った。「これは使えるな。みな良い体格をしている。実戦がまだだがな。選ばれたら大変な訓練が必要だぞ。」

そこで彼はやめた。

「場所は用意できそうだな。」

彼は後ろの車両に向かってうなずいた。

「乗るんだ。速く。私の気が変わる前にな。」

ソアの3人の兄は馬車へ向かって一目散に走って行った。父も走っていくのにソアは気づいた。

皆が行くのを見ながらすっかり意気消沈してしまった。

軍人は振り返り、次の家へと進んだ。ソアはもう我慢できなかった。

「上官どの!」ソアが大声で言った。

父がこちらを向いてにらんだ。ソアはもはや気にしない。

軍人はこちらに背中を向けたまま立ち止まり、それからゆっくりと振り返った。

ソアは心臓をどきどきさせながら2歩前へ進み、できる限り胸を突き出し、

「上官どのはまだ私を候補に入れていらっしゃいません」と言った。

軍人は驚いて、冗談ではないかと思いながらソアを上から下まで眺めた。

「入れていなかったと?」聞きながら彼は吹き出した。

兵士たちも笑った。だがソアは気に留めなかった。今こそ自分のための瞬間だ。この時を逃したらもう先はない。

「リージョンに入隊したいです!」ソアは言った。

軍人がソアに歩み寄った。

「知っているかね?」

彼は面白がっているようだった。

「“もうすぐ14歳になるのかな?」

「もうなりました、上官どの。2週間前に。」

「2週間前!」

軍人は甲高い声を上げて笑った。背後の兵士たちもだ。

「それならば、敵は君を見て震え上がることだろう。」

ソアは屈辱で熱くなるのを感じた。何かしなければ。こんな形で終わらせることはできない。軍人は背を向けて立ち去ろうとしたが、ソアはそうさせなかった。

ソアは前に進み出て、大声で言った。「上官どのは間違えておられます!」

皆が恐怖のあまり息をのんだとき、軍人が止まってゆっくりとこちらを向いた。

今度は顔が険しい。

「なんてばかな子だ。」父はそう言ってソアの肩をつかんだ。「家に入っていなさい!」

「入るものか!」ソアは父の手を振り払いながら叫んだ。

軍人がソアのほうへ歩み寄ったので、父は後ろへ下がった。

「シルバー騎士団を侮辱した場合の罰を知っているのか?」ぴしゃりと言った。

ソアの心臓が激しく鼓動する。それでも後には引けないと思った。

「お許しください、上官どの。」父が言った。「まだ子どもですから・・・」

「そなたに話しているのではない。」と軍人は言った。容赦のない目つきでソアの父を退けた。

軍人はソアのほうを向き、「答えなさい!」と言った。

ソアは息が詰まって声も出ない。こんなはずじゃなかった。

「シルバー騎士団を侮辱するのは国王陛下を侮辱することである。」ソアは従順に覚えていたことを唱えた

「いかにも」軍人が言った。「つまり、私がそう決めたら鞭打ちの刑40回を受けることになる。」

「侮辱するなんて考えてもいません、上官どの。」ソアは言った。「選ばれたかっただけです。お願いです。ずっとそれが夢だったのです。お願いします。入隊させてください。」

軍人は立ち尽くし、次第に表情が和らいでいった。しばらくしてから首を振った。 「君はまだ若い。気高い心を持っているが、まだ時期尚早だ。乳離れしたら戻ってきなさい。」

それだけ言うと彼は振り向いて、他の少年には目もくれずに行ってしまった。そして馬に素早く乗り込んだ。

ソアはがっかりして立ったまま、軍団が行動を起こすのを見つめた。到着した時と同じ速さで去って行った。

最後にソアが見たのは、後部の馬車に座っている兄たちだった。とがめるような目で嘲りながらこちらを見ていた。ソアの目の前で、馬車で連れて行かれるのだった。ここから、より良い人生へと。

心の中で、ソアは死んでしまいたい気持ちだった。

彼を包んでいた高揚した気持ちが引いていくのと同時に、村人たちはそれぞれの家へ帰って行った。

「お前はどれほどばかなことをしたかわかっているのか?」父がソアの肩をつかみながらきつく言った。「兄さんたちのチャンスをつぶすことになったかも知れないのをわかっているか?」

ソアは父親の手を乱暴に振りほどいた。父は再び手を伸ばし、ソアの顔を手の甲で叩いた。

刺すような痛みを感じ、父をにらみ返した。生まれて初めて、父に殴り返したい気持ちが自分の中に芽生えたが、それを抑えた。

「羊をつかまえて戻しなさい。今すぐに!戻っても食事があると思うな。今晩は夕食抜きだ。自分のしたことをよく考えてみなさい。」

「もう戻らないかも知れないさ!」ソアはそう叫ぶと丘に向かって家を出て行った。

「ソア!」父が叫ぶのを村人たちが立ち止まって見ていた。

ソアは早足で歩き、そして走り始めた。ここからできるだけ遠くへ行ってしまいたかった。夢がすべて打ち砕かれ、泣いて、自分の涙が頬を伝っていることにさえ気づいていなかった。

第二章

ソアは、怒りではらわたが煮えくり返る思いを抱えながら丘を何時間もさまよった後、選んだ丘の上に腰をおろした。脚の上で腕を組み、地平線を眺めた。馬車が消えていくのを、時間を経てもなお残る雲状のほこりを見つめた。

もう軍団が村にやってくることはないだろう。今となっては、自分はこの先何年も次のチャンスを待ちながらこの村にとどまる運命にある。たとえそれが二度とやってこないとしても。もし父が許してくれさえしたら。これからは家で父と二人だけだ。父は自分にありったけの怒りをぶつけてくるだろう。自分はこれからも父親のしもべであり続けるだろう。そして年月が経ち、自分もやがて父のようになるのだろう。兄たちが栄光と名声を手に入れる一方で、ここに埋もれ、つまらない日々を送る。血管が屈辱で焼けるようだ。これは自分が送るべき人生ではないということが彼にはわかっていた。

ソアは自分に何ができるか、どうしたら運命を変えられるか知恵を絞って考えたが、何も浮かばなかった。これが、人生が自分に配ったカードなのだ。

数時間座ったままだったが、やがて落胆した様子で立ち上がり、歩き慣れた丘を横切りながらずっと高く登り始めた。否応なく、羊の群れのいる高い丘のほうへと漂うようように戻って行った。登っていく時に一番目の太陽は沈み、二番目の太陽が最も高い位置につき、緑がかった色合いを投げかけていた。ソアは時間をかけてゆっくり歩きながら、特に考えもなく、長年使って革のグリップがすり切れた投石具を腰から外した。腰にくくりつけてある袋に手を伸ばし、集めた石を手で探った。良い小川から拾ってきた、滑らかな石で、鳥や、また時にはねずみに当てることもあった。長年の間に染み付いた習慣だ。最初は何にも当たらなかったが、そのうち動く標的をしとめたことも一度あった。それからソアのねらいは確実になった。今では投石はソアの一部となっていた。それに怒りをいくらか解消するのに役立った。兄たちは丸太に剣を突き通すことができるだろうが、石で飛ぶ鳥を落とすことはできない。

ソアは無心で投石具に石を置き、背中をそらせると、父に向かってそうするかのように全力で投げた。遠くの枝に当たって、ばっさりと落ちた。動いている動物を殺すこともできるのに気づいてからは、自分の持つ力が怖くなり、何も傷つけたくないと思って動物をねらうことはやめた。今では的は枝だ。が、きつねが羊の群れの後をつけてきたときは別だ。やがてきつねは近づかないことを学んだ。そのためソアの羊は村で一番安全が保証されている。

ソアは兄たちのことを、今彼らがどこにいるのかを考え、腹が立った。馬車で丸1日行けば王の宮廷に到着するだろう。ソアにはそれが見えるようだ。盛大なファンファーレと共に到着し、美しい衣服を身にまとった人々が彼らを迎える。戦士たちも挨拶を返す。シルバー騎士団のメンバーたちだ。彼らは迎え入れられ、リージョンの兵舎内に住む場所を、王の訓練場を、最高の武器を与えられる。それぞれ有名な騎士の見習いとして任命される。いつかは彼ら自身も騎士となり、自分の馬、紋章、そして見習い騎士を持つことになる。祝祭にはすべて参加し、王の食卓で食事をとる。特権を与えられた生活。だが、それはソアの手をすり抜けた。

ソアは気分が悪くなってきたが、それを意識から消し去ろうとした。だができなかった。彼の一部が、どこか深いところで自分に向かって叫んでいた。あきらめるな、もっと素晴らしい運命が用意されているのだ、と彼に言う。それが何かはわからなかったが、ここにないことだけはわかる。ソアは、自分は他の人と違っていると感じていた。特別なのかも知れないとさえ。誰も理解しえない何か。誰もが過小評価している彼の何か。

ソアは最も高い丘に着いたところで羊の群れを見つけた。訓練が行き届いているので、皆ばらばらにならずに、手当たり次第に満足そうに草を食んでいた。羊たちの背中に彼自身がつけた赤い印を探して数を数えた。数え終わった瞬間、凍りついた。1頭足りない。

何度も数えなおした。やはり1頭いない。信じられない思いだった。

ソアは羊を見失ったことなど今まで一度もない。 父はこの償いさえさせないだろう。もっと嫌なのは、羊が荒野に一頭だけで迷い、危険にさらされているということだった。罪のないものが苦しむのは見たくなかった。

ソアは頂上まで走り、はるか遠く、いくつもの丘の向こうの地平線をくまなく探し、見つけた。一頭の、背に赤い印をつけた羊を。群れのなかでも暴れんぼうの羊だ。逃げ出しただけでなく、よりによって西の方角、暗黒の森へ向かったことがわかり、ソアの心は沈んだ。

ソアは息をのんだ。暗黒の森は禁断の場所だ。羊だけでなく、人間にとっても。村境の向こうへは、歩き始めた頃から決して行ってはいけないと知っていた。もちろん行ったことなどない。道もなく、邪悪な動物の住む森に入ることは死を意味すると言い伝えられてきた。

ソアは考えをめぐらしながら暗くなりつつある空を見上げた。自分の羊を行かせるわけにはいかない。素早く動けば、暗くなるまでに連れ戻すことができるかも知れない。

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